背景
現在の高度情報化社会は、物質科学を基盤とした高純度・高機能材料の開発、これらの材料活用と微細加工によるエレクトロニクス・フォトニクスデバイスの製造、さらにデバイスの機能集積とネットワーク統合によるシステム化、という各階層における高度な学理と技術の上に成り立っています。さらに、これらのデバイスやシステムがソフトマテリアルやライフサイエンスといった新しい分野と融合して活用される機会も高まってきました。特に、ナノテクノロジーは21世紀における産業革命の起爆剤といわれ、多くの産業分野がナノメートルサイズを意識することにより技術の究極の高度化を図り、その活用によって経済の活性化を期する気運が高まっています。

研究教育上の理念
電子物理システム学科は、原子・分子を素材として、自己集積・自己組織化による高次構造形成、あるいは半導体微細加工技術によってナノメートルからマクロなサイズに至る各階層の構造体を形成し、ナノメートルサイズの固有の学理、電子や光を媒介とする機能発現、機能集積によるシステム化、という新しい学術分野に与かっています。そして、シャープで力強い教員集団によって獲得される学識を体系化して、21世紀に相応しい学理体系を構築し、それを若い学究の徒に伝達することを使命としています。

学科の特色
電子物理システム学科は、早稲田大学理工学部の電気電子系の伝統ある系譜を継承しています。すなわち、従来からの電子工学、集積回路工学、情報通信工学の伝統と実績を背景とする教員集団を中核として、これに材料科学および材料プロセス技術分野の教員集団を融合し、さらに、ナノスケール固有の学理に与かる専門家を擁しています。したがって、原子・分子から、材料、デバイス、回路を経て、システムオンチップや通信、MEMSなどのシステムまでを一貫して考究する他に例のない特色ある教員集団で構成されています。

卒業後の進路
電子物理システム学科では、電子工学および物理学を基礎からしっかり勉強し、この分野の専門技術や専門知識を身につけた人材を育成します。したがって、電気・電子機器メーカ、素材メーカ、通信・放送事業体、自動車・航空宇宙などの企業、および官公庁への就職に加え、金融、商社、教育機関などへの就職も見込まれます。もちろん、より高度で専門的な能力を習得するための大学院修士課程進学も推奨されます。これまでの例から見て、毎年8割以上の大学院進学を見込んでいます。
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